総合環境療法

総合環境療法とは


施設全体が「治療の場」であり、施設内・外で行っているすべての活動が治療的であるという考え方。子どもに関わる全ての異職種が連携協働して、子どもの治療目標を達成できるよう本人、家族を支援していきます。

生活

支援の基本

  1. 心身ともに健康に育つための基盤となる生活習慣(食事、睡眠、清潔 など)や身の回りのことに取り組む力について考え、職員と一緒に経験を重ねることで一つでも多くのことが一人で出来るように、または力を借りて出来るようにします。
  2. 社会において他者とより良い生活を送るために欠かせないルールやマナー(挨拶をする、約束を守る、人に迷惑を掛けない など)について考え、施設という小集団の中で繰り返し学びながら習得し、地域での生活に繋げられるようにします。
  3. 子ども同士や職員との関わりを通して自分自身の性格や行動の特徴・傾向を少しでも理解できるようになるために、様々な出来事・場面において振り返りやロールプレイを重ね、気持ちをコントロールする力(気持ちに気付く、気持ちを落ち着かせる、気持ちを話す など)や状況を判断する力(出来事を整理する、相手や周りのことを考える、起きた問題の解決方法を考える など)を付けられるようにします。

一日の流れ

  • 6:30 起床
    朝が苦手な児童には職員が声をかけ、朝食時間までには頑張って起きられるように促します。
  • 7:20 朝食
    食事は個々に適した量を提供します。苦手な物がある児童には職員が相談に乗り、少しでも挑戦できるように促します。

  • 8:25 登校
    小学生は集団登校し、中学生は個々で向かいます。安全管理のため小学生には職員が付き添います。
  • 12:30 給食
    分教室で同級生や先生と一緒に食べます。

  • 15:30 下校
    小学生は担任の先生が付き添い、中学生は個々で帰ります。
  • おやつ、宿題
    おやつは駄菓子から手作りの物まで日によって様々あります。宿題は分教室から出された課題を個々に適した環境で取り組みます。中学生は中間・期末テストや入試に向けた学習に取り組むこともあります。

  • 余暇時間
    宿題が終わった児童から余暇に移れます。曜日によってはゲームやタブレットも使用でき、グラウンドや体育館も開放されます。
  • 16:50 入浴
    決められた順番に最大1人20分ずつ入浴します。順番の早い人は夕食までに、順番の遅い人は夕食後の時間帯になります。

  • 18:00 夕食・余暇時間
    落ち着いて就寝に向かえるように穏やかな過ごし方を促します。
  • 21:00 消灯(小学生)
    20:00には居室に入り就寝準備をします。以降は一人で静かに過ごしますが、この時間を使い職員とゆっくり会話することもあります。

  • 22:00 消灯(中学生)
    21:00には居室に入り就寝準備をします。以降は小学生と同様です。

主な生活環境

医療

みらいで生活する子どもたちが
安全・安心な環境で健やかに育まれるよう
医療面からサポートします。

主治医の役割

みらいに入所した子どもたちには一人ひとりに主治医がつきます。
月に一度、みらいに来所し子どもたちの診察をします。小児科医2名、児童精神科医2名の計4名の嘱託医がいます。
“勉強に集中できない”“イライラして友達とけんかになってしまう”などの困り感に対し、相談の上お薬を処方して生活しやすくなるようお手伝いをしていきます。
みらいでの診察は病院とは違い、子どもたちが慣れた安心できる場で一人ひとりにゆっくり向き合うことができます。
また、職員へのアドバイスや支援方法について一緒に考え、質の高い支援を目指しています。

看護師の役割

子どもたちの生活に寄り添いながら、こころもからだも元気な状態で過ごせるお手伝いをしています。

  • 健康観察
    遊びなど日常的な関わりの中で心身の状態を観察しています。
    栄養士と連携し成長期の発達をフォローします。
  • 通院
    主治医へうまく伝えられない気持ちや症状を看護師が代弁して伝えることもあります。また、主治医からの薬についての説明やアドバイスなどを子どもたち一人ひとりに合った方法で伝えることにより理解を促し、効果的に治療できるよう手助けをしています。
  • 性教育
    ワーカー、セラピストとチームを組み年齢に適した性教育を実施します。“性”だけでなく“生”について考え自分と相手を大切にするこころを育てていきます。

心理

こころの回復・成長を支援します

心理療法(セラピー)は、生活の場から離れ、担当セラピストと一対一のゆったりとした時間のなかで行われます。会話や遊びなどの関わりを通して、一人ひとりに向き合い、専門的な視点を持って子どものこころを理解していきます。子どもたちは、自分のこころを表現したり、自分の気持ちを見つめたり、自分の課題に気づき、取り組みます。セラピストは、子ども一人ひとりが本来持っている健康な力を取り戻し、いきいきと成長していく過程を共に歩みながら援助します。また、子どものご家族にも寄り添い、関係を大切にすることで、子どもの成長を支える家族の力が発揮できるよう支援しています。

内容

  • カウンセリング(お話しするなかで自分のこころと向き合います)
  • プレイセラピー(遊ぶことを通して自分のこころを表現します)
  • 箱庭療法(砂箱の中にミニチュアを置くことを通してこころを表現します)
  • 心理検査(描画や心理発達検査などにより、子どもの状態を把握します)
  • 心理教育(正しい知識やスキルを学び、より良い対処方法を考えます)
  • グループセラピー(集団の中での自分の力を育みます)
  • 保護者との面談・相談

学校

みらい分教室は児童心理治療施設「児童心理療育センターみらい」に入所している児童生徒が義務教育を受けられるよう設置された、島根県立出雲養護学校の病弱部門の分教室です。
継続的に心理治療や生活指導が必要な児童生徒に対し、みらい分教室はセンターみらいと連携を図りながら一体となって子どもたちを支援していきます。
定員は20名です。
なお、入所期間中はセンターみらいでの心理治療や受診が優先となります。
また、教科別の学習の他、身近な地域の方々と関わりながら地域の特色を知り、社会性を身に付けられるような学習に取り組んでいます。

家族への治療・教育

家庭支援専門相談員(FSW)が、家族面談や子どもを取り巻く関係者との連絡・連携の調整を行っています。保護者との信頼関係を大切に、各家族に寄り添いながら課題の解決方法を共に考え、子どもが施設を早期退所し親子関係の再構築を図れるよう支援します。

地域関係機関児童相談所、行政機関、復帰予定校等

入所前、入所2カ月後、以降年2回、退所前に関係機関が集まり、各ケースについて連携を円滑におこなうための検討会議が行われています。